まさかこんな日が来るとは思わなかった。
 まるで昔観た映画だ……。
 死んだ人が甦り、血や肉を求めて人々を襲う。
 こんなことが本当に起ころうとは夢にも思っていなかった。
 
 テレビをつけるとなんたら評論家という、
 まさに何でも知っているような評論家たちが議論を戦わしている。
 なににでも評論家がいるものだ。
 やれ隕石の影響だの、
 微生物がどうの、テロの細菌がどうの
 挙句の果てには神の怒りにふれたからだなどとほざいている。
「起こっている原因よりもこの場をどうしてきり抜ければいいのか!?
 ソレが知りたいんだよ!」
 俺はテレビにむかって怒りの声をあげた。

 周りのアパートの連中は、もうやられたみたいだ。
 次に襲われるのは俺の番に違いない。
 嵐の前の静けさか?
 周りは静まり返っていた。

 俺は少し眠っていたみたいだ。
 気づくとカーテンの隙間から日の光がさしている。
 そっと窓に近づいて外の様子を伺った。
 なにやら物々しく銃やライフルを持った連中が集団でいる。
 煙草を吹かしながらニヤケタ顔つきでゾンビを無造作に撃っている。
 これで助かるかもしれない。
 俺は思わず窓を開け助けを求めた。
 連中の一人が俺に気づいた。
 助かった。
 そう思った瞬間、眉間を撃ち抜かれた。
 
 笑ってやがる……。

 


 

 おわり